特集記事


-Forest Times Special Feature-  THE 20th ISSUE of 2023

「ゴールデンエイジを生きる私たち」

自分を認め、褒めて明るく!

著者:村山 順子(一般社団法人 神戸暮らしの学校 代表理事)

 皆さま、こんにちは!お健やかにお過ごしでいらっしゃいますか。今、私は75歳。

年齢と共に豊かになるもの、衰えてくるものがあります。衰えてくるもの・・例えば、身体的な若さ。若い頃は、疲れを知らない身体、しなやかな筋力、エネルギーに満ち満ちていたことと思います。ですが、その若さの代わりに、人としての深さや優しさ、知恵を、日々の仕事や暮らしの中から授かってきました。人間的に円熟した今、私たちはまさにゴールデンエイジを生きています。

 

 人それぞれ、選んだ、また置かれた環境は違います。すべての方が心身共に不自由なく暮らせているわけではありません。ですが、その中で「明るく笑顔で過ごすこと」・・それこそが、本当の意味でのゴールデンエイジの、最高、最幸の生き方なのだと思うのです。中には、病気療養中の方、寝たきりの方、またその介護をされている方もいらっしゃることでしょう。その置かれた環境の中で、笑顔で「ありがとう」を伝えながら過ごされている方々、素敵です。

 

 私事で恐縮ですが、宮崎市のケア施設でお世話になっていた寝たきりの母が、4月に93歳で逝きました。主治医でもあった一人息子(私の弟)に看取られての、穏やかな最期でした。脳梗塞の後遺症で、周りの方々に全てを委ねることとなり、お世話頂きながらも生きてくれた母。目も見えなくなり、コロナになってからは自由に見舞いにも行けず、母は何を楽しみに生きてくれているのだろうか?と、切なくなる事が多々ありました。ですが、母から愚痴を聞いたことは一切ありません。聞くのはいつも「ありがとう」「嬉しい」・・不自由な言葉を、痩せた顔に満面の笑顔を浮かべ、伝えてくれていました。母のその様子に、会いに行く私たちは、どれほど救われ、ホッとした事でしょう!

 

 身体の自由を失い、お世話頂く立場となった母から教えてもらったこと・・どんな状況でも、自分の置かれた環境で、笑顔で「ありがとう」を伝えながら生きることの尊さ。母なりのゴールデンエイジを生ききってくれたと、感謝の思いでいっぱいです。

 

 今、お元気で、旅行や勉強会、友達との語らいができる皆さま。私もお陰様で今はその環境にあるのですが、ふと思うのです。その豊かな時間を少し割いて、若い人たちの手助けを・・と。私自身は、一人で起業してまもない頃に初孫が生まれたため、お世話をしてあげられませんでした。今は時間はありますが、孫はすでに大きく・・時は返っては来ないですね。

 

 祖父母の愛情を受けて育つと、情緒豊かな、優しい人へと成長していく子どもたちです。今こそ祖父母力を、身近な子ども、孫たちのために、と思います。他にも、地域で困っている方へのさり気ないサポート、幼児連れの親御さんへの優しい声かけなど、周りを見渡すと、私たちにできる事はたくさんありますね。

 

 懸命に働かれ、年齢を重ねて来られたゴールデンエイジの皆さま!ご自身を褒め、認めて、今日一日を笑顔満開でお過ごし下さいますよう!その笑顔が、周りの方々を笑顔にします。お元気で、ますます素敵に歳を重ねられますよう、心よりお祈り申し上げます。


著者プロフィール


村山 順子 さん 鹿児島県沖永良部島出身

  • 有限会社プロシード 代表取締役 会長
  • 一般社団法人神戸暮らしの学校  代表理事

 

13歳のときに単身で沖永良部島から神戸に出てきて就学。短大卒業後小学校の教諭となる。青春時代を子供たちとの学校生活で過ごし、結婚のため退職、専業主婦となる。

 

夫の急逝をきっかけに52歳で家事代行サービス会社を起業。起業を決意するきっかけが、夫からの手紙だったことから、多くの人に手紙で大切な人に素直な気持ちを伝えて欲しいと「心を届ける手紙のセミナー」を2004年よりはじめる。

 

手紙のセミナーは、2019年には全国47都道府県で開催され、2021年現在10,000人以上の方が参加されています。 

 

著書:「人生を変えた10行の手紙」(ぱるす出版)

   「60歳の約束 見えますか、聴こえますか、これでいいですか」(創英社/三省堂書店)