-Forest Times Special Feature-  THE 17th ISSUE of 2023

～母と私のニコニコ掃除～

著者：有江 加枝子（ひまわりサービス・有限会社プロシード）

　私の実家は神戸から車で1時間ちょっとの場所にあります。コロナがおさまりようやく自由に帰れるようになった今年。久しぶりに会った母は少し小さくなったような気がしました。「最近膝が痛くて一つ一つの動作がゆっくりになるねん」。買い物に行って食事を作ったり身支度をして病院に行ったり。一日があっという間に過ぎてしまい、思うように掃除ができないことが母のストレスになっているようでした。

　子育てが落ち着いた私にできることってなんだろう。いつも隅々まで手入れの行き届いた家で育ててもらったことが、私の仕事の原点かも。今こそ恩返しのチャンス！そんな思いで「月に一度の実家掃除」を決めました。

　掃除の日までに、母は「やってほしいこと」を紙に書き出しておいてくれます。その方が事前に父と相談しながらじっくり考えられますし、多少部屋が散らかっていてもあと一週間で娘が来ると思えば気が楽になるそうです。

　「あれやってこれやってといっぱい言われるのはあんたもイヤになるでしょ。私も頼むの気がひけるし」と母。掃除する気満々で実家に帰ってきても疲れがたまった作業後半はたのまれごとの返事もトーンが低くなります。

　やることが一覧になっていると時間配分がしやすいので効率よく動けます。作業が終わった項目をペンで消して行く時は達成感でいっぱいです。お掃除リストはお互いが気を遣わずに優しい気持ちになれるいい方法だなと思います。

[ある日のリスト]

• 冷蔵庫内の拭き掃除
• 浴室のカビとり
• 玄関タイルの拭き掃除
• 段ボールまとめ
• 部屋の掃除機かけ
• 父のズボン裾のまつり縫いとゴム入れ
• ガスコンロ周りの掃除
• カーテンの洗濯

　掃除道具は家から持参するようにしています。使い慣れた道具や洗剤の方が効率よく作業できます。

　浴室や洗面台のしつこい水垢にはリンレイのウルトラハードクリーナーがよく効きます。コンロの五徳は酸素系洗剤をお湯(40度くらい)で溶いたものに30分ほど浸け置きします。あとはブラシで軽くこすればしつこい油汚れも簡単に落ちますし、放置している間に他の箇所を掃除できます。仕事を始めたばかりのころ上司に「洗剤は最高のパートナーやねん。人力で時間をかけてやる作業を洗剤が助けてくれるから」と言われた言葉をしみじみと思い出しました。

[持参する道具]

• バケツ
• ゴム手袋
• 古タオル3〜4枚
• 伸縮するハンディモップ
• 酸素系粉洗剤
• 水垢用クリーナー
• メラミンスポンジ
• 燃えるゴミの袋
• 燃えないゴミの袋
• カッターナイフ
• ビニール紐

  掃除の日の楽しみは父と母と3人で囲むお昼ご飯です。母はいつも私の好物を用意してくれています。昔はおいしいおいしいと食べるだけでしたが、変わらない母の味と思いに胸がぐっと温かくなります。そして翌日にはLINEをくれます。「疲れたことと思います。帰りが遅くなってしまいましたね。本当にありがとう。お母さんはものすごく助かり心が軽くなりました」。

　掃除をして心まで軽くなってもらえる。少しは孝行できたかなと嬉しくなります。

　また来月も会いに行きますね。